《杏子どの、本当にいいのかのう?今ならばまだ間に合うぞよ》
アプレクターじいちゃんが、久しぶりに声を掛けてきた。
(いいの!決めたんだから……あたしのせいで赤石さんは歩けなくなったんだよ?だから、償わなきゃ)
《そうかのう?わしには強く言えんが、貴殿の悲しみが伝わってきて仕方ないのじゃ。
心が悲鳴を上げておる。
そんな状態で貴殿が真に幸福になれるのか、甚だ疑問なのじゃ》
(じゃあどうすればいいの!?あたしにはわかんないよ!どうやって償えばいいのよ!教えてよ!!)
あたしは半ば八つ当たり気味にアプレクターじいちゃんに怒鳴りつけた。
《そこまではわからぬが、己を偽り続けていてはいかんと言うことじゃ》
(それなら……!)
興奮したせいか、あたしは吐き気が酷くなった。
「杏子、大丈夫?休んだ方がいいわよ」
「そうした方がいい。婚姻届は私が出しておくから」
赤石さんがそう言ってくれたから、立ち上がれないあたしは彼に婚姻届の提出を任せてベンチに腰掛けた。



