電話口でのお母さんは、いきなりな報告に言葉を失ってたみたいだった。
そりゃあそうだよね。
1ヶ月行方をくらました娘が、仕事も辞めていきなり妊娠、結婚だなんて。
ユリのお母さんなら、こんな不良娘だなんてど突かれそう。
『それで、あなたは大丈夫なの?その赤石さん……のこと好きなの?ただ自責の念や同情からなら、止めた方がいいわ。お互いを傷つける事になるから』
なるべく動揺を抑えよう、と努力している様子が痛いほど伝わってきた。
お母さんの言いたい事は、あたしだってよく解るよ。
お母さんはいつだって娘のあたしの幸せを第一に考えてくれてるから。
それを考えると、申し訳ない気持ちになるけど、あたしはこう答えるしかなかった。
「うん、あたし赤石さんが好きだから大丈夫。同情なんかじゃないよ。
看護士さんが婚姻届を持ってきてくれるから、明日にでもこっちで入籍するつもり。
あたし未成年だからお母さんの承諾が必要だし、赤石さんにも紹介したいから。急だけど明日こっちに来てね」



