だけど……
もう、そんな事すら許されない。
あたしは、ナギの隣にいる夢さえ、見ちゃいけないんだ。
胸が、痛んだ。
あたしなりの、贖罪。
せめてあたしに出来ること。
彼から授かった命を、きちんと生み育てる。
傷つけてしまったナギへの、唯一の償い。
あたしは渇いた喉を鳴らし、熱を帯びそうな瞼を押さえて頷いた。
「……はい」
長い長い、一瞬だった。
「……ありがとう」
赤石さんはあたしの方へ自由になる腕を伸ばしたから、あたしは彼の招きに応じた。
彼はあたしを抱きしめ、柔らかく唇を重ねる。
あたしは堪えきれなくて、涙がひと粒頬を流れた。
なんの涙だろう?
後悔?悲しみ?
今は何も考えたくない。
赤石さんは、ずっとあたしを見守ってくれていた。
あたしを理解し、支えてくれた。
これでいいの。
きっといつか、胸の痛みも薄れる日がくる。
きっと、赤石さんを愛せるようにもなるから。



