別に赤石に許しをもらう必要なんかないのに……なんでそんな事を思ったんだろう?
あたしは自分自身の心が解らずに困惑した。
でも、思いきってストッキングを脱いでも、赤石の態度は一貫して紳士的だった。
おそらくは捻挫らしいということで、冷湿布を貼って固定してくれた。
「本当は病院に行った方がいいんですが、どうしますか?」
あたしはナギに心配を掛けたくないから、赤石の問いかけには首を横に振った。
「大丈夫です。これくらいなら……それより、仕事の邪魔をして申し訳ないですから、赤石さんはもういいですよ。ありがとうございます」
あたしは痛みを我慢して、笑顔を作りながら言った。
救急箱を仕舞った赤石はそれに対する返事はせず、給湯室に引っ込むと暫くしてグラスを2つ持って戻ってきた。
「温かいものよりはこちらの方が気分が解れるでしょう」
赤石があたしに差し出したのは、クリームがかった冷たい飲み物。
「ありがとうございます、いただきます」
あたしは喉が渇いてたから、遠慮なく口にした。



