「いい加減になさい!自分が足を挫いたことをなぜ素直に言わないんです?
健康管理は社会人として最低限の責任。
いざという時に役に立たなくては失格です。
子どもっぽい意地を張ってる場合ですか」
赤石は鋭い声で、あたしを厳しく叱責した。
それは今まであたしが接した事がない、社会の厳しさの一端で。
あたしは驚いたと同時に、なんだか自分が悪戯をした子どものような気持ちになって、しょげ返った。
確かに、赤石の言うとおりだった。
仕事中に個人的な感情で人へ接する態度に差を着けるなんて最低だ。
「……ごめんなさい」
なんだか居たたまれなくて、あたしは素直に謝った。
「私もついつい声を荒げてしまいました、申し訳ない。
すぐそこに休憩室がありますから、そこを借りて手当てしましょう」
赤石は打って変わって穏やかな口調で言ったから、このフロアの勝手が分からないあたしはお任せしますと言っておいた。
休憩室の中に入ると六畳ほどの広さはブルーでコーディネートされていて、どことなく落ち着けた。



