オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




……30分後。


あたしは額に汗を浮かべながら歩き続けてた。


あれ?確かこのフロアの見取り図を見たら、VIPエレベーターから5ブロック先を左手に行けば、一般用のエレベーターがある筈なんだけど?


手帳に大まかに写した見取り図を頻繁にチェックしながら歩いてたんだけど、必要ないと思って全く写し取ってないブロックに出てしまった……要するに、自分が迷ったと理解するまでにそう時間は掛からなかった。


急いで写した見取り図はもはや何の役にも立たないから、あたしはただひたすら歩き続けた。


何だってこのフロアはこんなにも複雑に入り組んだ設計になってるのよ!?


おまけに人は通らないし……。


あたしは八つ当たりしながらも、普段から履かずに慣れないパンプスで足が痛くなったから、ひとまず立ち止まって壁に背を預けた。


誰もいないからその場で遠慮なくパンプスを脱いだけど。


予想外にもすぐそばのドアが開いたから、屈んだ姿勢を取ったあたしは驚いてそのまんま顔を上げたんだけど。


よりによって出てきたのが、あの赤石だった。