オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

その後ナギは今日5時で事務所を閉める、って言った。

また何かあるならとあたしは思ったけど。


「おまえの愚問や愚見を聴いている時間が惜しいから言っておくが、今日これから俺には用がある。それだけだ」

ナギはいつもの調子でぴしゃりとあたしの口を封じ込めた。


確かにいつもの、ですねぇ。


眉がピクピク引きつるのを感じながら、あたしは余計なコトしちゃった。黙らせときゃよかったと心底思ったけど。


帰り際にナギが

「伊藤博はどうしてる?」と突然に訊いたから、あたしはそんな思いなんて一気に吹っ飛んじゃった。

多少なりとも責任感じてんのかな?

「博君なら今、あたしの知り合いの静江おばあちゃんに預けてるよ。夕べはうちに泊まらせたし。特に怒ってないと思うけど」


「おまえはアホか?誰がそんな意味で訊いたか。
それよりも、ヤツから目を離すな。
間が抜けたおまえのことだから、ヤツに首輪でも付けておけ」

………


首輪ってなによ!ってあたしが言う前に、ヤツはコートを羽織りさっさと事務所から出ていきました。