オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】









あたしとお父さんは5分後に救出された。


お父さんは元の人事部長の顔に戻ってよそよそしくなったけど、あたしは話せてよかったと思う。


このトラブルにも感謝したい位に。


エレベーターから助け出されたあたしを最初に迎えたのは、他の誰でもないナギだったから、あたしは嬉しくて彼に向かい駆け寄ったけど。


ナギはムダがない動きでスッと避けたばかりか、足を出してあたしの脚を引っ掛けて転ばせ、顔ごと床に激突&自爆させたし。


ちょ……ちょっと……鼻がつぶれたかも。


「何もない場所で転べるとは、さすがだな、アルマジロアタマ。
おまえのような神経回路マイナスの生物は、珍獣園か生物基礎科学研究所行きが妥当だな」


「あのねえ~~あんたが転ばせたんでしょうがっ!!仮にも事故に遭った女の子の鼻を擦り剥かせるわけ!?」


専務と直属の秘書じゃあり得ないやり取りだったけど、あたしはカッとなってついつい怒鳴りつけてた。


だって一応事故に巻き込まれて密室にいたんだから、普通はいたわるものでしょうが!?