やっと、お父さんの事に決着が着けられそうな気がした。
確かに、今までの仕打ちを考えればすぐには許せない。
許せないけど、ゆっくりと時間を掛ければいい。
お母さんはまだお父さんを愛してるのは解るから。
同じ愛を知った女として、解るから。
どんなに突き放されても、その手を求めてしまうその想いを。
だけど、お父さんには教えてあげない。
自分でお母さんと接して知ってほしいから。
このくらいの意地悪はいいよね?
「じゃあ、今度Dランドにみんなで行こうよ。もちろんお父さんの奢りだからね?」
あたしは、ずっと夢見てたコトを口に出した。
よその子達が当たり前みたいに、家族旅行で行ってた。
あたしは何百回家族で行きたいと願ったか、夢見てたか。
チカから貰ったパンフレットの写真に、お父さんとお母さんとあたしの写真を切り抜いて貼り付けた。
「ああ、わかった。ゴールデンウイークに行こう」
お父さんはしっかりと頷き、指切りして約束してくれた。



