「実は、5年前……おまえが中学生だった時、美子の世話をする加奈子先生に一度だけ会いに行った時があったんだ。
おまえと美子の毛髪を貰うためにな。
全てに決着を着けるつもりで、DNA鑑定をするために」
お父さんはそこで一度言葉を切り、大きく息を吐いた。
あたしの鼓動は速くなり、無意識に握りしめた手のひらが汗ばんだ。
もしも……あたしが本当に、お父さんの子じゃなかったら……。
想像もしたくなかった。
知りたくない、そんな事!
あたしはお父さんを止めようと立ち上がったけども、止めるタイミングを逸して、再びお父さんが口を開く。
「結果は、98・5%の確率で、私とおまえが親子関係にあると出たのだ。
青い瞳は遺伝ではなく、何らかの要因によるものだと。
つまりは、全ては私の邪推に過ぎなかったのだ。
それを知った時、私は激しい後悔に襲われた。
今更だが、謝らせて欲しい。
杏子、本当に今まで済まなかった」
その時ちょうどランプが復旧し、眩い中で見えたのは、深々と頭を下げるお父さんの姿だった。



