エレベーターの位置を示すランプは24階で点灯したまんま、23階に移る様子はない。
ドアは開かないし、衝撃が来た時以来動く気配がないし。
おまけに内部の照明がいきなり消えて真っ暗。
5分経っても動作しないエレベーターに、今更ながらあたしの中に危機感が湧き上がってきた。
たぶんエレベーターを停めた原因である黒きアプレクターの気配はそこかしこで感じられるけど、密室からだと手も足も出ないし。
《杏子殿、大丈夫じゃよ。この暗号機を使うのじゃ。ヤツらもこれには手を出せぬからの》
アプレクターじいちゃんがそう言って、いつの間にかスーツのポケットから落ちてたらしい携帯電話を差し出してくれた。
暗闇の中で液晶ディスプレイのバックライトが眩く、うっすらと周りを照らし出した。
その携帯電話は、今日ナギと一緒にお揃いで契約してきたんだ。
無機質な光だけど、それはこの密室と外部を繋ぐ唯一の綱。
あたしは慣れない手つきで、電話帳からナギの番号を急いで探した。



