「鈴木人事部長、あなたを今日お呼びしたのは、本社ビル内の案内を私達にして頂けるように頼みたかったからです。
なにぶん、私も本社に勤めて半月足らずですので、案内図がなければ未だに心許ない状況でして」
自分に話が振られる心構えが出来ていなかったのか、話が唐突すぎたのか、お父さんは慌ててメガネを直しながら、声を掛けたナギを見た。
「は、はい。内部のご案内ですね。確かに承りました」
そう言ったお父さんは、あたしを極力見ないように努めてる、ってのが分かって悲しくなる。
13年ぶりに会ったのに、やっぱりお父さんはあたしが嫌いなのかな?
あたしみたいに懐かしいとか嬉しいとかいう感情は、ひとかけらも感じてないのかもしれない。
「それで、キャピタルゲインの比率は……」
あたしの思いはおざなりにされたまま、ナギは麗子や赤石と難しい話をしてた。
たぶんビジネスの話だろうけど、専門用語が多すぎてあたしにはなにがなんだかさっぱりな理解不可能状態。
麗子は多少理解してるみたいだけど、麗子側の受け答えは殆ど赤石がしてた。



