(じいちゃんにはわかるの!?)
《おうじゃわいな!人間とて生き物じゃからの、幾ら感情や思いを控えたところで滲み出る全てに蓋はできぬ。
赤石は確実に私意を持ちここにおる。
杏子殿を襲ったのも、恐らくはそのためじゃな》
アプレクターじいちゃんはきっぱりと断言した。
……なるほど。
あたしにはやっぱり合点がいった。
麗子の相手をしてるような人が、あたしに一目惚れなんかするはずがないと思ってたけど、やっぱりね。
《流石は杏子殿、しっかりと己を弁えておりますのう!麗子と己の容姿の差を素直に認め……ぶべしっ!?》
扇を広げてかっかっかっとばか笑いするアプレクターじいちゃんを密かに足蹴にしたあたしは、少しずつ冷静な頭になっていった。
このビル全体を覆う、害意のない黒き王。
その中心にいるのが、ナギの母親である産土麗子。
麗子の愛人で、あたしに嘘をつき迫った赤石。
これは何かあるよね、絶対に。
あたしは意識を現実に戻しながら、とりあえずは成り行きを見守った。



