オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

気のせいかな?


ナギの目に、少しずつ人間らしい色が戻ってきたのは。


そう思えた直後だった。

「おまえ相手に愚痴るなら、全国ネットのテレビで垂れ流した方が百倍マシだな」


「……はいはい、あたしゃ愚痴る相手にもならないんでしょ?」


あたしはそう言ったけど、腕の内側のポツポツが最高潮にかゆくなってたから、ナギに手を払われても気付かなかったし、どうでもよかった。


やっぱり出ちゃった、男性アレルギー。


かゆいよぉ!!


あたしは慌ててロッカーを開けたけど……


しまったあ!!
塗り薬家に忘れてきちゃった。


腕を見ると余計に痒くなるから、あたしは見ないようにしてトボトボと自分の使ってる折りたたみ式の机に戻ったら。


机の上には、知らない塗り薬のチューブが置いてあった。


「使え」


ナギは後ろ向きのまま何の感情もなくそれだけ言うと、後はあたしと口を聞くのもイヤだと言わんばかりに口を噤む。


アレルギー性皮膚炎の薬……ねえ。
こんな青色の薬なんて見たことないけど。