とにかく、高そうな黒革張りのソファーに腰を落ち着けてる人たちの顔を、ぐるりと見渡した。
あたしが座らされてたのは、上座の右手にある三人掛けの長いソファー。
あたしの隣には10センチと離れずにナギが座っていたから、少し安心できた。
で……
あたしとナギの向かい側、どっしりとした大理石のテーブルを挟んだ場所には。
見間違えるはずもない、鈴木太郎……あたしの実のお父さんが、微かに眉を寄せながら座してる。
そして、上座には……
産土麗子。
向かい側の下座には、赤石。
今一番会いたくない人物リストの上位陣が、なんでよりによって一度に出現するんですか!?
だけど、好き嫌いなんか言ってられない。
「今日から私の秘書を勤めてもらいます、渚杏子さんです、お母様」
ナギに紹介されたあたしは、慌てて立ち上がりぺこりと頭を下げた。
「は、はじめまして。渚杏子です!至らない点はあるでしょうが、頑張りますのでよろしくお願いします!!」



