……なんでしょうか、コレ。
あたしは目の前に揃った人間を見てるだけで、クラクラと目眩がしそうになった……。
といいますか、許されるならこの場で気絶したいです、ハイ。
だけど、あたしの願いとは裏腹に、長い貧乏暮らしで鍛え抜かれた図太い神経は、しっかりと正気を保ってくれました。
あたしには悪夢とも言えるこんな場面になったのは、午前10時過ぎ。
あたしはナギに専門店で買ったスーツに着替えさせられ、挨拶に行くと社長室に連れてこられた。
産土商事は流石に日本一の年商を誇るだけあって、50階建ての全面ガラス張りのビルが丸ごと本社として使われてた。
社長室なんかは最上階に近いフロアにあって、VIP専用の最新式直通エレベーターを使えば5分で着いたけど。
こんな予想外の目に遭うとわかってたなら、あたしはきっと猛ダッシュで逃げ出してました。
だけど、悲しいかな。
あたしは予言なんかできないから、迫り来るピンチに心構えなんてできっこなかったし。



