「……コーヒーにしろ、カカオ豆アタマ」
「だぁ~め!もう、いい加減に牛乳くらい飲めるようになりなさいよ。
産土グループの専務さんが牛乳嫌いなんて、いい恥さらしじゃない」
マグカップに満タンの牛乳を目の前にしたナギは、あたしの言葉にあからさまに顔をしかめた。
まったく、3年経ってもナギはコレだけはダメなんだから。
アレルギーがあるなら解るけど、ナギの場合は単なる好き嫌いだもん。
あたしは今までの無駄な努力を思い返してため息を着く。
ナギはマグカップに手をつけずにベーコンエッグをつつこうとしたから、あたしはとっさにこう言った。
「ユリだって牛乳嫌いだったけど、身ごもってからは赤ちゃんの為に頑張って克服したんだよ。
だから、瑛太君は好き嫌いせずすくすく育ってるでしょう?
ナギだってもしお父さんになるなら、好き嫌いしてちゃ子どもに悪い影響があるでしょう」
本当に、些細な思い付きで言った、深い意味がない言葉。
だけど、ナギからはあたしの予想外の反応があった。



