オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

これはお母さんの癖で、あたしが話せない時も、これをやられたらスルリと口から出たからかな。


あたしは腕が痒くなるのを感じても、我慢した。


初めて真っ直ぐに見たナギの目は、淡い茶色だった。


戦う時猛々しい赤だったけど、今は透明なガラス玉みたい。


なんの生気もない人形みたいに。


ナギの目はあたしを映してても、あたし自身を見てない。


それはなんだか癪で、あたしはじっとナギの目を真っ直ぐに見たまま口を開いた。


「ナギ、もし何かあるなら、あたしに言いなさいよ。
そりゃあナギから見れば、あたしなんて役立たずかもしんないけど。
でも、人間には動物にはない言葉ってものがあるでしょう?
悩みがあるなら独りで悩まないで、誰かに話しなさいよ。
もし誰もいないなら、あたしが聴くから。
バカなあたしには聴かせたくないとか思うかもだけど、あたしだって聴くくらいの事は出来る」


あたしはあたしなりの言葉で精一杯に言ってみた。


洒落た言葉や説得力のある言い回しなんて知らないから、あたし自身の思いをそのまま口にしただけ。