あたしの体を、ナギが両腕で抱きしめてくれたから。
強く、強く。
「もう大丈夫だ……おまえは俺のそばにいればいい」
ナギが耳元で囁いた声は、忌まわしい風なりの音を消してくれた。
仄かに香る石鹸とナギの匂いは、土と緑の記憶を塗り替える。
力強い腕は、チクチクした感覚を消失させた。
……だけど、足りない。
体中に残る、這い回るおぞましい感覚。
まだあたしに男性アレルギーという枷を縛り付けているそれを。
全て消してしまいたかった。
あたしは自分でも無意識のうちに、ナギにすがりつくように抱きついてた。
信じさせてほしいよ、その言葉を。
もし本気なら、あたしの忌まわしい記憶を消して。
他の誰でもない、ナギの手で。
あたしは涙を溜めた目で、その想いを込めてナギの淡い瞳を見上げた。
ナギもあたしの青い瞳を、何の躊躇いもなくまっすぐ見つめてくれた。
その目を見れば、万の言葉を尽くすよりも、彼の想いがあたしに伝わってきた。



