噎せ返りそうに濃い緑と強い風、土の匂い、ひんやりとした地面にはチクチクと肌を刺す松の葉が落ちてて……。
車でそこに連れてこられたあたしは、男に乱暴につき倒されて。
空は暗く陰ってきて、いくら叫んでも誰にも聴こえずに、あたしは……
あたしは。
目の前の全てから、色が消え去った。
……鮮烈な体験は、どんなに忘れようと努力しても消えない。
あたしが男性恐怖症になった引き金とも言えるそれは、13年経った今でもあたしの心を苛む。
押し込めていた筈の記憶が蘇って、あたしは全身が細かく震えだした。
寒気が絶えず体中を這い回り、肌が粟立つ。
悪寒で気持ち悪くなり、悲鳴を上げようとした口に両手で蓋をしてひたすら耐えた。
……ダメ、ナギに迷惑はかけたくない。
気分の悪さからか、背中と額から汗が吹きだす。
フローリングの床にうずくまり、それらに一生懸命に耐えた。
……だけど。
意外なことが起きた。



