結局、瑛太君の欲しがった広島焼きとフランクフルトとジュースを買う羽目になったし。
「ちょっとナギ、瑛太君がお腹壊したら可哀想でしょ!?」
あたしがひそひそとナギに抗議すれば、ヤツは涼しい顔でこう言った。
「おまえよりは考えてる、ミジンコアタマ。
何も全て食べさせなければいい事だろう。
子どもは欲求が満たされれば大人しくなる。
少量ずつ分け与えれば済む話だ」
「はいはい……わかりましたよ」
あたしがなに言ったって、ナギにかなうはずないんだよね。
ベビーカーを畳んだあたしは、サッサと歩いてくナギと瑛太君を慌てて追いかけた。
☆
ナギが向かった先は、桜並木でも川の堤防沿いにある目立たない場所。
出店も途切れて桜もそれほど立派な木じゃないからか、たまに人通りがあるくらいで静かだった。
ナギは川岸の階段そばに瑛太君を座らせて、自分も横に座った。
あたしはあたふたと荷物を整理してたけど。
「杏子、早く来い」
意外にも、ナギがあたしに向かって声をかけてくれた。



