あたし達はお城のお堀にのそばある桜並木の下を歩いてた。
もっとも、お城とはいえ昭和になってから再現されたものだし、規模もさほど大きくないから普段は観光客も少ない。
だから桜祭りの時だけは、地元の人に加えて遠方からやって来る観光客で賑やかになる。
ちょっとした道沿いには必ず出店があって、焼きトウモロコシや綿あめやおもちゃなんかが所狭しと並んでる。
色とりどりのおもちゃを見ただけで瑛太君は目を輝かせるし、ご飯を食べた後なのにお菓子や軽食を欲しがるんだよね。
まだ理詰めで納得できる年じゃないから、気を逸らすにもひと苦労だった。
「瑛太、あっちでジュース飲むか?」
広島焼きにジッと見入ってた瑛太君に、ナギが声を掛けた。
「……あれ食べたい」
瑛太君はナギの右人差し指を小さな手でぎゅっと握りしめて、ケースに入った広島焼きのパックを指差した。
……またそう来る~!
ダメだよ、とあたしは言おうとしたんだけど。
「じゃあ一つだけだからな」
ナギが財布出しちゃったしっ!!



