オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

いつもならあたしをバカにした笑顔では、少なくとも目の奥では微かに笑ってた。

あたしの穿った見方なのかもしれないけど。

いつもの毒舌でも、今日は少しおとなしい。

……やっぱり、変だ。

多少のご勘気は覚悟の上よ!

あたしは、立派な事務机を使ってるナギの背中に向かって言った。

「ナギ、何かあったの?」

でも、あたしの問いに答えは返ってこない。

別にここでほっといてもいいんだけど。
(っていうか、むしろ関わらない方が絶対に精神衛生上よろしいのですが)

なんて言うのかな。

ナギの背中はいつも通りなんだけど。

肩に乗っている表情って言い方は変かもしれないけど、何かが微妙に違う。

それも、よくない方に。


あたしは毒舌を十回は食らう覚悟をして、ナギの使ってる事務机に歩み寄った。
もちろん、最低限の範囲である50cmの距離を取るのは忘れなかったけど。


あたしが近づいて来てるっていうのに、ナギは振り返りもしない。

いつもなら半径60cm以内には近寄るな、って言うくせに。