……逢いたい。
やっと逢える。
あたしのドキドキとときめきは、抑えられなくなってた。
半月ぶりに逢える喜び。
だけど――。
男はあたしにだけ聴こえるよう、はっきり囁いた。
「さっき言ったコトを忘れないでくださいね」
あたしの中の暖かくなった心は、冷や水をかけられたように熱を奪われた。
男はあたしの体をベンチに倒すと、自分は横に座ってあたしの額に濡らしてないハンカチを載せた。
「何を甘えてるか、カビが生えたナマケモノ。
気分が悪くなるのはおまえの顔を見た人間だろう、ゾンビアタマ。
人の秘書まで下らん用事で使うな。」
ピキッ……
……本日二度目のアタマがひび割れる音ですよ。
けど、そんなあたしを庇ったのは、意外にも横にいる男……ナギの秘書だった。
「専務、杏子さんは本当に気分が悪そうでした。そんな仰り方は……」
……いったい何がどうなってるの)?
あたしは僅かばかり頭が混乱してきた。



