……だけど。
アプレクターじいちゃんの巨大な手は、男の数センチ手前で弾かれた。
何度も何度も仕掛けてみたけど、男の体に触れることもままならないみたい。
《どうなっとるんじゃ!?こやつには触れられぬぞよ》
「……っ!」
アプレクターじいちゃんが喚いてる最中、やっとあたしの唇は解放されたけど。
「あなた誰?」
あたしは怒りをかき集め、睨みつけながら目の前の男に問うてみた。
もちろん、男の腕から逃れようと体を捩りながら。
だけど、なにを考えてんのか。
目の前の男はいきなりキスしてきたのが信じられない程の、人懐っこい温かな笑みを浮かべた。
「貴女に一目惚れしただけの、ただの男ですよ」
「はあ?」
思わず語尾が上がり気味になったあたしの声は、すぐに小さな悲鳴へと変わった。
あろうことか、男はあたしの首筋にキスを落としたから。
「なにする……っ……!」
自分の体重を乗せてあたしの体をベンチに軽く倒した男は、再びあたしの唇をキスで塞いだ。



