オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

あたしは一瞬、なにを言われたのか分かんなかった。


ナギが自分からそう言うなんて、地震、雷、火事、親父の前触れですか?

あまりに意外すぎて虚を突かれた形のあたしは、この時不覚にもヤツにキョトンとした顔を晒してた。


「豆腐頭には難しかったか。明日は来なくていいと言ったんだ。これでアホでも解るだろう?」


……いつものナギでした。


やっぱりあたしをバカにしきった笑顔を口元に浮かべ、その毒舌は影なんぞ潜めるはずはなかったのでございます。


……あれ?

ため息をつきながら書類を整理していたあたしは、ナギの表情に微かにだけど違和感を感じた。


確かに浮かべた笑みは十分ムカつくけど、なんて言うんだろう……。


あたしは思わずナギの顔をマジマジと見た。


「おまえの目に顔を晒すくらいなら、永遠に笑ってた方がマシだな」


あり得ないコトを吐いたナギは、あたしからフイッと顔を逸らしたけど。


その間際にやっと判った。


ナギの目……


笑ってない。