ユリ達とは瑛太君が生まれた際に九州で個人的に一度会った事があるけど、それ以来の2年ぶり。
チカ達とは去年の夏休み以来で、こうしてみんなが集まるのは3年ぶりなんだよね。
ケンが引っ越して、ユリとジュン君が駆け落ちした3年前。
確かにあの春、あたし達の中では大きな転機を迎えてた。
誰にとってもそう。
ましてや、あたしは……。
「杏子おばちゃん、これあげる」
ピキッ……
あたしの中で何かが、小さく音を立てて割れた。
……おばちゃん。
これでもあたしはまだ、19歳になって3ヶ月しか経っていないのですが。
唇の端が引きつりそうになりながら、あたしは目の前でおにぎりを差し出してる瑛太君に笑顔を向けた。
「ありがとね、瑛太君」
そう言いながら瑛太君のぷっくりした小さな手とふくふくした柔らかそうなほっぺた、無垢な瞳を見たら、愛おしい感情が湧き上がってきて、自然と笑顔になれた。
瑛太君はユリ似だから、ちょっと細目だけど可愛いなあ。
そう思いながら頭を撫でてあげた。