「絹枝さん、全てを忘れろとは言わないわ。
だけど……私たちがいますよ」
静江おばあちゃんは静かに語りかけた。
そして……
最後にアリスが絹枝さんの前に立った。
絹枝さんは更に憤怒の表情になったけど、アリスには黒髪の攻撃が届かない。
ナギが配ったトランプには白いアプレクターが憑いていて、それがアリスを守ってたから。
アリスは両手でトランプを胸に当て、ゆっくりと絹枝さんを見上げた。
《こんにちは、キヌエ。わたしはアリス・グリーンよ。
わたしはタダシが大好きだった……初恋だったの。
かなわないと知ってたから、最初から諦めてた。
だけど……あなたとわたしは同じよ。
カワムラタダシという、同じ人を好きになれた。
こんなステキなことがあるかしら?
わたしはあなたを妬ましいと思ったわ。
でも、恋する心に国境や人種は関係ないわ。
わたしはあなたとお友達になりたいの、キヌエ。
わたしはあなたとタダシの事をいっぱいお話ししたいわ。
きっと楽しいわよ!ね!?》
アリスは無邪気な笑顔でそう語りかけた。



