これは……
もしかしなくても、忠司さんの最期。
どうして亡くなったのか、これで解る……。
だけど、それだけじゃ終わらなかった。
視点が移動をして目まぐるしく景色が変わってく。
まるで、過去を遡るタイムスリップみたいに。
そしてそれは、紅に染まるある景色を映し出した。
何かの警報が鳴ってた。
町中に響くそれを聴いた人たちは、手近な荷物を持って逃げ出してた。
「お母さま、大丈夫でございますか?」
艶やかな黒髪をアップにして、白いワンピースを着た少女が、よく似た壮年の着物姿の女性にそう言ってた。
激しい咳をした女性は、娘に気を遣わせまいとしたのか、わざと明るい笑顔を浮かべた。
「ええ、大丈夫。大丈夫よ。きっとお父さまも天から見守ってらっしゃいます。だから助かりますよ」
そう語り合った母娘に向かって「お待たせ致しました」と愛想良く言った恰幅のいいおばさんは、大荷物を抱えて後ろにいるおさげの女の子に怒鳴りつけた。



