後は一方的な攻撃だった。
毒ガスで2人が亡くなり、火炎放射器で1人が火だるまになり海に転落し、死んだ。
忠司さんも両足と腹を撃ち抜かれ、血まみれになりながら海岸まで逃げ延びたけれど。
……絶望としか言えない状況だった。
崖っぷちで敵に追い詰められ、更に銃撃されて崖から海へ落ちた。
あの怪我で海に落ちれば助からないと踏んだのか、敵の兵士はそれ以上行方を探すことはなかった。
確かに忠司さんは、死を待つしかない状況だった。
だけど……
流れた先でバンドウイルカの群れに出逢い、見知らぬ無人島へ運ばれた。
その時に群れに居たのが、額に星の紋様を持った黄金色のイルカ。
死と生の狭間にあった忠司さんは、軍服を切り裂いて最期の力で血を墨代わりに何かしたためた。
「私はもう駄目だから……いつか絹枝さんに……これを……私の骨と共に……帰して……約束……守れなく……て……すまない……と……」
その言葉を最期に、忠司さんはひっそりと息を引き取った。



