忠司さんはボロボロの地図を広げて、人差し指でルートを指さす。
「この辺りが一番手薄な筈だ。突破するのは容易ではないが、抜ければまたましな状況になる――」
忠司さんが説明を始めて間もなく――
カタンと軽い音がしたかと思えば、洞窟の中に何か転がり込んできた。
――と、ほぼ同時に煙が充満し始めた。
「毒ガス!」
誰かが叫び、その言葉に過剰に反応したあの背の低い兵士がパニックに陥ったのか、突然叫びながら走り出した。
「嫌だ!死にたくない……佐知子お―っ!!」
「竹本、行くなあっ!」
忠司さんが後を追ったけれど……。
その兵士は洞窟から出ると同時に、単調なタタタタという音がBGMとでも言うように、体中が奇妙な方向に跳ね、あらゆる場所から血を吹き出し、膝から力が抜けて……
背中に大きな風穴を開けられ、血を吐きながら倒れた。
「さ……ちこ……かあちゃ……」
血まみれの手は何かを求めるようにさまよった後に空を切り、その言葉を最期に、目を見開いたまま事切れた。



