「自分にも……夢があります!素晴らしい絵を描き上げたいと。
実家には描きかけのカンバスがありますから、せめてそれを完成させるまでは死にたくありません!
作品を世の中に残すことができれば、自分が生きた証しになります。
同じ道を志して共に競いあったけれど、詰まらぬ理由で喧嘩別れした幼なじみに……せめて絵で謝りたいのです!
もう逢えないならば……せめて一言謝りたかったです。
それが叶わないならば、せめて絵だけでも完成させたいのであります!」
それぞれの“生きたい”という叫びは――
痛いほど胸に突き刺さった。
……ムリもないよね。
みんなみんな、それぞれの人生があるんだから。
みんなみんな、真面目にまっとうに生きてきた。
なのに戦争というものは、ささやかで平凡な暮らしを壊し、小さな望みや幸せさえ奪われる。
それどころか、人の命さえ奪う。
それも、何万何十万人と。
それと同じ数だけ、歩いてきた人生や想いや夢やドラマがあったはずなのに。
戦争はそれらを平然と奪い、全て壊すのだから。



