丘陵地の崖のそばにある洞窟だった。
隙間から僅かに射し込んだ光で浮かび上がったのは……。
数人の日本軍兵士の姿だった。
なぜかみんな顔は泥だらけで、軍服やヘルメットにはカムフラージュの為か木や草を着けてた。
みんな硬い表情で口を真一文字に結び、疲労困憊な上に絶望的な雰囲気が漂ってるように見えた。
「残ったのはこの五名だけか」
1人だけ立っていた長身の人が口を開いて、暗く重い沈黙を破った。
「中隊233名中、指揮官である大尉は爆死、大半は弾丸でハチの巣にされた。
補給も援軍も期待できず、地形から察するに我々は敵陣の最中。
さて、この絶望的な状況をどうなさいますかねぇ、川村少尉どの?
士官学校上がりのお坊ちゃんよ」
長身の男が挑戦的にそう言って睨みつけた事で、男の横に居た中肉中背の男性が忠司さんだって解った。
忠司さんは岩に腰かけてたけど、下唇を噛んで苦しげな表情を浮かべてたし、膝に置いた両手の拳は力を入れすぎたみたいで、震えた手は血色を失って白くなってた。



