オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




清流のように涼やかで透明感がありながら、鋭さと柔らかさを矛盾することなく内包した、不思議な韻だった。


――イルカたちの、歌。


近くを泳いでいたバンドウイルカ達が、一斉にエコーを発してた。


まるで唄うような妙なる調べが、潮騒と風とが奏でるメロディーと重なり合う。


それは蒼天に、大海原に、深き森に、大地に広がってゆく。




黄金色の光と、七色のオーロラが見えた気がした。


あたしの胸元が温かく感じたから、そっと触れてみたら。


イルカたちの唄に応えるように、紅葉が淡く輝きを放ってた。


《1000年樹より力を授けられし者よ。私の声が聴こえますか》


あたしの中に、年かさを重ねた老婆に似た声が響き渡った。


あたしは瞳を閉じて胸に両手を当て、コクリと頷いた。


(はい、聴こえます)


目を閉じたあたしの心に、一頭のイルカの姿が視えてきた。


ひときわ大きく立派な体を持ち、その肌には無数の傷跡がある。


何よりも目立ったのは、額にある星形の模様だった。