『ありす』は、涼花さんの問いかけに直ぐには答えなかった。
ただ、押し黙ったままトランプを両手に持って、じっと見入ってた。
そばに来たイルカたちの尾びれが波間から見えたけど、誰も歓声を上げたりしない。
風が強くなったのか、『ありす』の赤みがかったブロンドがフワリと揺れた。
《……わたしは、アリス。アリス・グリーンよ。
タダシとはイングランドの首都ロンドンで知り合ったの。
タダシは外交官の息子だったけども、貧しい花売りだったわたしから花を全部買ってくれた事がきっかけで知り合ったの》
『ありす』……
じゃなく、アリスは滔々と話し始めた。
……イングランド?
「歴史ダメな赤点アタマに解説しておくが、イギリスというのは正式な国名ではない。正しくはグレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国。
グレートブリテン島のイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド島の北アイルランドおよびマン島、チャンネル諸島から成り立つ国だ」
ナギが後ろからさり気なく(?)教えてくれたけどね。



