金髪の『ありす』は……
変色して色褪せたカードを手に、ぽつぽつと語りだした。
《これは、わたしが唯一持ってた遊具なの。
忠司ともこれで路地裏でよく遊んだのよ……懐かしいわ》
アプレクターの『ありす』の姿は普通の人ならば見えないはずだし、声だって聴こえないはずなんだけど。
博君やマモル君はともかく、涼花さんや静江おばあちゃんまでが『ありす』に目を向けてたのは意外だった。
絹枝さんだけは、ぼんやりと海へ目を向けてたけど。
……もしかしたら。
《じいちゃん、絹枝さんの様子がおかしいから、ちょっと側にいて》
あたしは思うことがあってアプレクターじいちゃんにそう頼めば、彼は明日の朝の一杯を増量する事で手を打ってくれた。
本当に漠然とした予感で確信はないけど、あたしの考えが間違いないならば、『ありす』が危ないかもしれない。
それどころか、間近にいるみんなが。
あたしは絹枝さんの様子を窺いながら、緊張感からか手のひらが汗ばんでくるのを感じた。



