オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

あたしが使う道沿いには築30年以上になる、あたしのアパートとどっこいな古い平屋建ての木造住宅が続く一角がある。


その中でもいちばん小さい家に独りで住んでるのが、静江おばあちゃん。

おばあちゃんと呼んでるけど、あたしと血の繋がりはなくて。

あたしが物心ついた頃にはもうここに独りで住んでた。


なんでも昔に旦那さんと何かあって、別れて以来おひとりとか聴いたけど。


けど、本物のお祖父ちゃんやお祖母ちゃんが遠い存在のあたしにとって、それ以上の人。


あたしの家がめちゃくちゃだったりいじめられたりした時。


友達がいなくてひとりぼっちだった時。


あたしは静江おばあちゃんのお家に必ず来たんだよね。


静江おばあちゃんはそんな時、泣きじゃくるあたしをぎゅっと抱きしめてくれた。


そして、お手製の駄菓子や昔風のご飯を食べさせてくれて、一緒にお風呂に入って。


夏は蚊帳を吊りながら、風鈴の音を乗せた涼風に吹かれながら寝るのが好きだった。


チカやケンも時たま遊びに来たら、すごく喜んでくれて。