いつもあたしはストレートを流すだけだったけど、涼花さんは流石に手慣れた様子で、あたしの髪をアレンジしてくれた。
乾電池のヘアーコームでウェーブをかけて、纏めた髪をアップにしてゆるく結う。
ヘアーアクセサリーは、薔薇の花を象ったヘアピン。
出来映えを見たとき自分でも別人かな、と思えて気恥ずかしかったけど。
これが今のあたしに出来る最高の、精一杯のお洒落。
それから、涼花さんはコスメポーチからひとつの小瓶を取り出してあたしの首筋に何か塗ってくれた。
「魔法の水よ。何かはヒミツ。
あなたの今日が善きもの、思い出深いものになりますように……って願いも込めたの。
素敵な思い出が出来るといいわね」
そう言ってウインクしてくれた涼花さんの暖かさが、まるでお姉さんみたいに思えて。
あたしは思わずひと粒の涙を零し、お礼を言った。
もしも
もしもナギが
今日命尽きるとしても
あたしは
後悔したくない。
精一杯一緒に思い出を作ろう、と自分に誓った。



