あたしはチカにそれとなく詳しい話を訊いて、メモを取る。


電話を切り終わった後、5分は経ってたけど驚いた。


朝ご飯に使った食器や鍋類が全部きれいに洗ってあっただけじゃなくて、テーブルや流しの中までぴかぴかに掃除してあったから。


「あ、ありがとう」


あたしが思わず言うと、博君は照れたのか、俯きながら最後のお皿をふきんで拭きながらもごもご言う。


「オレも何かできるもん。それならやらなきゃ」


小学生中学年でここまでテキパキと片付けられる……。

躾がいいから、なんて楽天的な見方も出来るけど、あたしはそう思えない。


自分が似たような境遇だったからこそ、なんとなく分かった。


あたしはまた博君の頭を撫でながら言った。



「なら、時たまは手伝ってもらうからね」


「うん!任せてよ。オレ、洗濯も掃除もご飯作りも出来るから」


保護してくれる人に認めてほしいから、一生懸命になる。


自分は役立たずじゃないから……と言いたくて。


博君もたぶんそうなんだろうな。