表情は前髪の陰で見えないし、静かすぎてピクリとも動かない。
まさか……!?
あたしは不吉な予感が頭をよぎり、慌てて駆け寄ると、膝を着いてナギの様子を窺ってみた。
口元に耳を寄せて澄ませば、ちゃんと寝息が聴こえてホッと息を着いた。
「紛らわしい事しないでよ、もう……」
あたしは文句を言いながら、脱いだ上着を掛けようとナギの肩に近づいた時。
はっ、とあたしは息を飲んだ。
よく注意すれば、ナギが全身を震わせてたから。
額に手を当てればひんやりと冷たいくらいで、熱はない。
怖い夢でも見てるのかな……?
原因はわからないけど、あたしは迷わなかった。
ナギの体に上着を掛けて、幼子みたいに膝枕をしてあげながら抱きしめるのを。
どうか、ナギがいい夢を見られますように。
夢でも現実でも、少しでもナギが幸せで居ますように。
あたしはそう祈った。
たとえ……ナギを幸せにする相手があたしじゃなくても。
彼が安らかに穏やかでいられるなら、いい。



