あたしはマモル君が口にしかけた言葉が気になって仕方なくて。
「ねえ、もうひとつの可能性って?」
マモル君は言いたくなさそうだったけど、あたしが顔をのぞき込んだら何故か頬を赤らめて、スルリと口に出した。
「もしかしたら……だけど。
相手をあまり大切に思ってなかった場合。
あくまでも俺の勝手な考えだけど、戦前は自由恋愛なんて殆どなかったはずだから、相手がどんなに気に入らなくても結婚しなきゃいけなかったろ?
だから、相手の事を考えずにただ贈っただけっていうケースだよ」
「やっぱりそうでございますよね」
いきなり絹枝さんの声が聴こえて、あたしとマモル君は同時に振り向いた。
うたた寝していたはずの絹枝さんはいつの間にか起きていて、ひとりで杖を着いてあたしたちの側まで歩いてきてた。
距離があって聴こえないと思ってたのに。
そう気安く考えてた自分を恨みたくなる。
だけど、聴かれてしまった以上は取り消すなんて出来ない。
あたしは直ぐに絹枝さんに肩を貸して、暖かい日溜まりに腰を下ろさせた。



