森を抜けて見えてきた岬には、確かに薄桃色の淡い色彩に彩られてた。
近づくにつれて、五分咲きのソメイヨシノって判る。
ゴツゴツと荒っぽい幹のどっしりとした重量感と、旺盛に伸びた枝。
「本当に……咲いてたんだ」
博君猫が折ってきてくれたから、咲いてたのは当たり前だけど。
実際に目の当たりにすると、驚きはまた別のものだった。
『ありす』が何か叫んで、急いで馬から降りようとしてたから、あたしはアプレクターじいちゃんに頼んで降ろしてあげた。
『ありす』は地面に足が着くと、こちらを向いて
《Thank you!》
白い歯を見せながらにっこり笑ってくれたから。
あの愛らしさは反則でしょう!
あたしは心の中で叫びながら、『ありす』に対する悪感情がすっかり消えてるのに気付いた。
あの黒いのは許せないけど、あの子ならもう大丈夫と確信出来たから。
『ありす』は真っ直ぐに桜の木を目指すと、根元に生えた薔薇の前に屈み込んだ。



