あたしが久しぶりに明るい気持ちになってお礼を言うと。
《しからば、我らはもっと大自然に帰るべきじゃな。
杏子殿、たぁ~~ちじゃ……どぐおげごべしっっ!?》
胸を目指してみょいんと腕を伸ばしてきたから、あたしは笑顔のままストレートパンチをお見舞いして、アプレクターじいちゃんを吹っ飛ばしてあげた。
アプレクターじいちゃんは洞窟で『ありす』と対決したんだけど、精魂尽き果てて自力で帰ってきてから二晩眠り通しだった。
あたしもそりゃあ、ほんのちょっぴりは心配したけど。
昼前に起き出したアプレクターじいちゃんは、涼花さんが作ったご飯を美味しいと全部平らげてくれた。
炭焼になった川魚、芯が残ってぼそぼそのご飯、毒キノコと毒山菜の味噌汁、冷蔵し忘れて黴びた白菜の漬け物。
全部処分してくれてホッとした。
《時に杏子殿、気のせいかあちらにおるのは貴殿が『ありす』と呼んでおった存在ではないかな?》
アプレクターじいちゃんが顔の形を変えながら指し示した方角を、どうせ冗談と渋々見てみれば。



