オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




絹枝さんはあのハイキング以来、めったに発作が起きなくなってた。

だから、あたしがトキさんと間違われる事はないんだけど。

何となく初日からの惰性で、あたしが主にお世話をしてた。

あたしが泊まってる部屋は侍女の控えの間だったし。

ゴールデンウイークも残り少なくなった今更、部屋を変えるのも面倒だったし。


それに……


あたしの部屋は二階の一番西側で、ナギのいる一階の東側から一番遠い部屋だったから。

今のあたしには、それが何より有り難い。


あたしがぼんやりしてたからか、ここ3日ばかり絹枝さんが何か言いたげにしていても気付かなかった。

というか、気づかない振りをしてた。


あたしは自分のことで手一杯で、他の人を考えたりする余裕なんか全然なかったから。


でも、今は。


ナギから離れる決心をしたから。


決断して落ち着いたら逆に頭が冴えてきて、早く依頼を終わらせるために絹枝さんからお話を聴かなくちゃと思う。


きっと絹枝さんも、何か大事なお話をしたくてならなかったんだろうな。