……砕け散った破片は、あたしの心かもしれない。
のろのろと床を掃除して、またお粥を作り直す為に土鍋を探していると。
「杏子お姉ちゃん」
外から台所に入る勝手口から、博君の声がしたけど。
あたしはそちらを向くどころか、返事もしなくて。
自分でも嫌な人間だと思ったけど、博君をシカトしてた。
あなたも将来ああやって、女の子を平気で裏切る“オトコ”っていう人種になるんでしょ?
ナギの事がきっかけか、あたしの中では治りかけてた男性嫌悪症は……
いっそうひどくなってぶり返してた。
今まで優しくしてくれたマモル君すら厭わしくなるし、まだ10歳の博君にすら拒否感を抱いてた。
男なんて、幾ら口先で上手い言葉を言っても、やっぱり信用出来ない自分勝手な生き物なんだって。
今まで信じようと努力していた自分が、なんだか虚しくて哀しくて。
なんでみんな、あんな生き物と生きようと出来るの?
あたしは、ナギに対する気持ちも日ごとに冷めてゆくのを感じてた。



