この別荘にかつぎ込まれて2日経つけど、ナギの隣にはあの美人さんがいつも付き添ってて面会謝絶状態。


誰も近づかないで、とあの狩野さんが真剣な面持ちでみんなに宣告したから、誰もが気遣って書斎や個室には絶対に近付かない。


それを利用して、逢い引きを重ねてたなんてね。


あたしは自分やみんなの滑稽さが可笑しくて、乾いた笑い声を上げた。


『ありす』と対決した晩、狩野さんがお粥を作ってほしいと頼みにきた。


あたしは自分がナギの役に立てるかもしれない、という喜びで大急ぎでお粥を作り、いそいそとお部屋に運んだんだけど。


個室のドアには鍵が掛かってて、ノックをしても声を掛けても反応がなくて。


お粥が冷めちゃう、と思ったから、南側にあるサンルームを思い出してそちらに回ったんだよね。


そこから通り抜ければ部屋に近付けるし、もしかしたらナギの姿をちらりとでも見られるかも。


そう考えたあたしが裏手に回り込んでサンルームに近づいた瞬間に見えたのは……


抱き合ってた狩野さんとナギの影だった。