ナギは……
彼なりに、あたしを想ってくれた。
そう信じたい。
でも……
いきなり、おでこにパチンと痛みが走るなんて思わなかった。
見れば、栗毛の美人さんがあたしにデコピンした形跡が……。
あたしは栗毛の美人さんのイメージとちょっとしたおちゃめのデコピンが結び付かずに、何がなんだか解らず目を白黒させてると。
「ちょっとだけの間よ。すぐ済むから。
もうすぐみんなが来てしまうでしょ?
その前にやっておかないとまずいのよ」
栗毛の美人さんが何度もそう繰り返すので、やっぱり名残惜しいかもと少しだけ同情心が湧いたから。
のろのろと退いて、ナギのそばをほんの少しだけのつもりで譲った。
栗毛の美人さんは、ナギを抱き起こすと。
あたしは、自分の目を見張った。
栗毛の美人さんが、ナギにキスした場面を。
ハッキリくっきりしっかりと、この目で見てしまいましたから。