そして、黒い『ありす』が気付く前に、目にも留まらぬ速さで剣を黒い『ありす』本体に突き立てた。
何か口で呟くと、黒い『ありす』は黒い靄と化し、そのまま散っていった。
ナギの浄化法とは違う。
こんなやり方は見たことないよ。
「立てそう?」
呆気にとられたあたしが気がついて顔をあげれば、あの栗毛の美人さんがあたしに向かって手を差し伸べてくれてた。
思わずその手を取りそうになったけど。
あたしは薔薇園で抱き合ってた2人を思い出して気分が悪くなったから、つんとそっぽを向いて断った。
「結構です! 自分で立ち上がれますから」
ナギの愛人だか恋人だかの手なんか借りるもんですか!
あたしは意地になって、足と腰に力を入れて立ち上がろうとしたけど。
右足首を捻ったのか、体重をかけた途端に激痛が走って思わずよろめいたら、栗毛の美人さんに支えてもらう羽目になっちゃった。
栗毛の美人さんはスレンダーな体なのに出るとこは出てて、いい香りがして、しかも優しくて。



