解放感とともに喉に新しい空気が流れ込んで、体を折り曲げて少しせき込む。
軽く動いてみたけど、骨は折れてないみたいでよかった。
なぜ助かったのか分かんないけど、黒い『ありす』は、まだ恨めしげな目をこちらに向けてるし。
岩床を見てみれば、あたしを締めあげてたらしい髪の毛は、本体から離れながらもまださわさわと動いてて。
マジ怖いんですけどッ!!
トカゲの尻尾はそれを囮にするため、敵の前でわざと切り離してそれは動くらしいって聴いたコトはあるけど。
だいたい髪が動くとか、切り離しても蠢くとか、聴いたことないんですけど!
《おのれ!どこまで私に逆らうか!》
「逆らうも何も、訳の分からんコトで喜んで殺される人がいるかっての!
あんたも女性なら、今の自分の顔を鏡で見たらどうなの!?
そんな化け物みたいな顔してて、恋しい人が振り向いてくれると思うわけ!?」
あたしはポケットをまさぐると、入れておいたコンパクトミラーを取り出して黒い『ありす』に掲げながら近づいた。



