でも、ずっとこうしてなんかいられない。
もう直ぐマモル君達も来るだろうし、もしかしたら絹枝さんも。
子ども時代とはいえ、かつて夫が異国で関わった女の子となんて、会わせる訳にはいかないよね。
あたしだってきっといい気持ちはしない。
なら、すべき事はひとつ。
一度お帰りいただかなくちゃ。
話を聞き出したいとも思ったけど、やっぱり言葉が思い浮かんでこないから。
なんて切り出せばいいのかな?
え……で始まったよね、確か。
え……
え……
え~~っっと……
あたしが腕を組んで唸ってると。
『ありす』の声が聴こえたから、顔を上げた。
『ありす』は涙で濡れた頬のまま、じっとあたしの顔を見てたけど。
その顔は真剣味を帯びていて、何だかただならない緊張感を漂わせてた。
祈るように膝を着いて屈み腰だけど、首から上は真っ直ぐに起こして、あたしの顔をじっと見つめてた。
なんだろう?
あたしは『ありす』のその様子から、軽い不安を覚えた。



